久米島ホタルの会 会長あいさつ

 

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私は、去る4月1日に久米島西中学校へ赴任いたしました。久米島での勤務は20代の頃からの夢で、30年来の思いがやっと叶いました。

久米島を切望した理由は、自然や歴史・文化に富んだこの島で、私自身啓発を受けたかったのです。

 

このような小さな島から仲原善忠先生や大田昌秀先生、宮里静湖先生等の偉大な人物を輩出し、歴史や文化では、

おもろそうしに「唐や大和の船が銭・黄金を持ち寄せる城」と詠まれている宇江城の城主末裔・上江洲家が地域に製法を伝えた久米島紬、

生物ではクメジマボタルやキクザトサワヘビ、クメジマツツジ等々、「ひと・もの・こと」に溢れた魅力ある島なのですから。

私は、10数年前から本島中南部でホタルやオカヤドカリ、オカガニの観察会を行っています。

そこで親子に話すことは、「今日ここで皆さんはホタルやオカヤドカリ、オカガニを観察し、感動を覚えるでしょう! 

しかし、20年後・30年後皆さんがお父さんやお母さんになったとき、皆さんの子ども達に今日のような感動を味わわせることができますか?」

と問いかけます。

 

同じような体験を子や孫に伝えていくためにも、今ある自然を守ること。

さらに、生活と自然との共存を図ることを考えてくださいと話してきました。

久米島も同様だと思います。

 

クメジマボタルをはじめ、久米島の生き物は「島の宝」です。

その宝を生かして、久米島の生活を成り立たせていくことは、持続可能な社会をつくることになると思います。

 

久米島ホタルの会を通じて、会員のみならず、島の人みんなで自然を感じ取り、久米島の宝を守り、自然を生かした社会の形成ができる

大人や子ども達を育んでいきましょう。会長として一助となればと思います。

 

久米島ホタルの会 会長 島村 一司

ホタレンジャーが作るホタルビオトープ

私たちは、クメジマボタルや陸生のホタルが年々、減り続けていることを知って、どうしたらホタルが減らないようにすることができるのか、みんなで調べてみることにした。

 

2007年5月、久米島の小学5年生を中心に県内で初めてホタレンジャーを結成したときの素直な気持ちだ(当時の参加者は14人、現在は50人を超える)。

 

そこで、2年間にわたり島の中で、ホタルにくわしい人や商店街の人、 

島のお年寄りからの意見や考え、感想を聞いた。

質問の結果から、昔は私たちが想像できないくらい、たくさんのホタルが集落や家の近くや川にいたことがわかった。

 

また、2年間にわたる調査で、クメジマボタルは、餌のカワニナが多く見つかるきれいな川に多く、カワニナは、生活排水や肥料、赤土で汚された川ではすめなくなることもわかった。

 

クメジマボタルが、多く発見された川は、きれいな川だった。

そして、陸生ホタルの餌であるカタツムリやミミズなどの土壌動物調査では、 石灰岩のある場所の落ち葉や土の中からは、たくさんのカタツムリの種類や数が見つかり、多くのホタルが発生することがわかった。

 

また、シブイロヒゲボタルのいる浦地川上流の森では、餌のフトミミズがたくさん生息していることもわかった。

このように森と川の調査から、ホタルとつながる生きものたちのとても大切な関係が少しずつ明らかにされていった。

 

また、問題点も明らかになった。それは、外来種の捕食の影響である。

それらの関係をみんなで描いて、生きもののつながりがわかる大きな図にして、 

ホタル館に展示した。

 

楽しみながら自然の大切さを知る方法として、人形劇も作った。

その劇は、ホタル館10周年記念イベントで実演することができ、とても好評だった。

 

2009年、私たちは、具体的にホタルのすむ森や川を守るための活動も始めた。

 

まず、恐ろしい外来種である池のブルーギルやテラピアなどを釣って食べて

減らす取り組みだ。

 

さらに、川に流出しホタル館に堆積した赤土を取り除き、その土を使って、

木を植え森を育てた。

 

久米島固有のカブトムシ、クワガタムシが好む森は、

クメジマボタルの好きな森、そして、サンゴ礁を育てる森だ。

 

2011年3月11日に、東日本大震災が起きた。

私達はとてもショックだった。

 

ホタレンジャーみんなで何かをしたいと話し合い、義援金を集めるためホタルの会主催のクメジマボタル観察会(この年初めて念願のホタルがホタル館でたくさん出現した)を手伝うことにした。震災で悲しい思いをしている人たちの、何かの役に立ちたいと考え協力した。

 

この時のクメジマボタル調査は、10日間で710匹を数えることができた。

 

しかし、この夏、ホタル館の上流側に大きな牧草地開墾による河畔林伐開で、大量の赤土が落下して川底を埋めた。

 

2012年2月、私たちはみんなで大切に育てたオキナワウラジロガシやセンダン、ミフクラギ、オオバギ、サガリバナなどを引きつづき植栽した。

 

この木が生長し、カワニナやクメジマボタルのすみかを増やし、水生生物が増えて川の水をきれいにしてくれることを私たちは期待している。

 

2013年夏、ようやく念願の湿地ビオトープが復活した。

また、川底の赤土を取り除き、石積みの瀬と、川底を掘り下げて“くむい(淵)”を造る作業を始めた。瀬と淵の再生だ。

 

この作業は今日のホタレンジャーにも受け継がれている。

 

現在、みんなでそれぞれできる能力を発揮し、森を育て、

赤土で埋まった川の環境を、昔のように自然に近い川にすることを目標に、

 

 

今後も取り組み続けて行きたいと考えている。